MUFGを長期保有する理由|金利・海外事業・新NISAの投資仮説
この記事で分かること
MUFGを実際に保有する個人投資家が、金利、海外事業、資産運用をどう評価し、買い増しと撤退を何で判断するかを最新決算とともに整理します。
この記事の目次
私の結論:金利だけに賭けない銀行株投資
私が三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)を購入した背景には、円安、国内金利の上昇、新NISAの開始という3つの変化がありました。現在はその見方を少し修正し、国内の貸出収益、海外事業、資産運用・手数料収益を持つ総合金融グループとして評価しています。
銀行株は「金利が上がれば儲かる」と説明されがちですが、実際には預金金利、貸出需要、保有債券、信用コストも同時に動きます。したがって、政策金利だけで買い増しや売却を決めることはできません。
| 私の判断項目 | 現在の見方 |
|---|---|
| 最初に購入した理由 | 円安、金利上昇、新NISAによる事業機会 |
| 現在の中心仮説 | 国内利ざや改善と、海外・手数料事業の分散 |
| 買い増しの目安 | 事業成長が維持され、金利が据え置き〜上昇方向で、予想配当利回り3%超 |
| 最低保有期間 | 5年以上。基本的には売らずに保有する前提 |
| 仮説を見直す条件 | 利下げだけでなく、利ざや・信用コスト・資本の複合悪化 |
※上表は筆者個人の判断基準であり、将来の配当やリターンを保証するものではありません。
最初に購入した3つの理由
1. 円安と海外収益
円安が続くと考えていたため、ドルを保有する企業や、海外で外貨を稼ぐ企業に投資したいと思いました。MUFGは海外支店に加え、タイのKrungsri、インドネシアのBank Danamon、持分法適用会社のMorgan Stanleyなど、海外に幅広い収益源を持ちます。
ただし、MUFG株を買うことは、ドルを直接保有することではありません。海外利益を円換算するときに円安が押し上げ要因になる場合はありますが、為替ヘッジ、外貨調達費用、現地の信用コストも影響します。為替感応度のある日本企業への投資であり、外貨預金やドル建て資産とは性質が異なります。
2. 国内金利の上昇
国内金利が上がれば、貸出金利と預金金利の差が広がり、利息収入が増える可能性があります。MUFGの2026年度第1四半期では、連結の資金利益が8,823億円となり、前年同期から1,916億円増えました。会社資料では、円金利上昇による営業純益への影響を約600億円としています。
2026年7月31日時点で、日本銀行は無担保コール翌日物金利を1.0%程度で推移させる方針を決定しています。金融政策を決めるのは政府ではなく、日本銀行の政策委員会です。政府の意向を推測するより、日銀の声明と銀行自身の利ざやを確認する方が投資判断には有効です。
3. 新NISAと資産運用事業
新NISAによって投資信託の残高が増えれば、MUFG傘下の三菱UFJアセットマネジメントや信託・資産管理事業に収益機会が生まれると考えました。eMAXIS Slimシリーズは、その顧客接点の一つです。
一方で、残高の増加がそのままMUFG全体の利益になるわけではありません。2026年度第1四半期の資産運用・資産管理(AM/IS)事業本部の粗利益は1,344億円で前年同期比92億円増、うち資産運用は378億円で14億円増でした。グループ全体の親会社株主純利益8,094億円と比べると、重要な成長要素ではあっても、現時点の主たる利益源とは言いにくい規模です。
メガバンク3社の違いは、日本のメガバンク株を長期保有する理由で比較しています。
最新決算で確認する現在地
2026年度第1四半期は、金利上昇だけでなく、貸出残高、手数料収益、Morgan Stanleyの持分法利益など複数の要因が増益に寄与しました。
| 指標 | 2025年度1Q | 2026年度1Q | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 営業純益 | 5,429億円 | 8,090億円 | +2,660億円 |
| 親会社株主純利益 | 5,460億円 | 8,094億円 | +2,633億円 |
| 資金利益 | 6,907億円 | 8,823億円 | +1,916億円 |
| AM/IS事業本部の粗利益 | 1,252億円 | 1,344億円 | +92億円 |
2026年6月末の連結CET1比率は12.95%でした。大手銀行を見るときは利益だけでなく、損失を吸収する普通株式等Tier1資本の厚みも確認します。また、海外貸出残高は57.3兆円で、3月末から1.7兆円増えましたが、為替影響を除く増加は1.0兆円でした。海外残高の変化には、事業成長と円換算の両方が含まれることが分かります。
決算で見る5項目
- 国内の貸出金利、預金金利、貸出利ざや
- 貸出残高と手数料収益が増えているか
- 与信関係費用と不良債権比率が悪化していないか
- 海外事業の現地通貨ベースの成長と、為替換算の影響
- CET1比率、配当、自社株買いのバランス
金利が上がっていても、預金金利や信用コストがそれ以上に増えれば株主利益は伸びません。逆に、金利が据え置かれても貸出残高や手数料収益が増えれば、利益を伸ばせる場合があります。
私の買い増し条件
私は次の3条件を大まかな入口にしています。
- 事業の成長力に大きな変化がない
- 国内金利が据え置きから上昇方向にある
- 会社予想の年間配当を基にした予想配当利回りが3%を超える
ただし、配当利回り3%は安全性を示す数字ではありません。株価下落で見かけの利回りが上がっているだけの場合や、将来の減配を市場が織り込んでいる場合もあります。買い増し前には、配当原資となる利益、資本比率、会社の還元方針を確認します。
「金利が下がったら売る」だけでは不十分
当初は、金利が据え置きから低下へ転じたときが投資仮説の崩れる条件だと考えていました。利下げ局面では、金利負担が軽くなる成長企業の方が相対的に魅力的に見えることもあります。
しかし、1回の利下げだけでMUFGの価値がなくなるわけではありません。海外事業、手数料収益、貸出量の増加が利ざや低下を補う可能性があるからです。現在は次の複合条件で見直します。
- 日銀が継続的な利下げ局面に入り、国内利ざやも縮小する
- 貸出残高と手数料収益が伸びず、営業純益が複数四半期で悪化する
- 景気悪化によって与信関係費用と不良債権が想定以上に増える
- 海外事業の現地収益が弱まり、円安による換算効果でしか増益を維持できない
- CET1比率が低下し、配当や自社株買いの持続性が弱まる
投資資金は有限です。MUFGの利益が維持されていても、金利低下によって他の成長企業の期待リターンが高まれば、追加投資先を変えることはあります。保有継続と、新規資金の配分は分けて判断します。
「大手銀行だから潰れない」は保有理由にしない
大手銀行は決済や融資を担うため、破綻すれば金融システムへ大きな影響が及びます。日本には預金保険制度や金融機関の秩序ある処理の枠組みがあり、重要な金融機能を維持する仕組みも整備されています。
しかし、これは株主の損失を防ぐ制度ではありません。金融機能や預金者を守るために事業が移管・再編されても、既存株主が希薄化や大幅な損失を負う可能性はあります。金融庁の制度整理でも、破綻金融機関の経営者と株主が責任を負う考え方が示されています。
保有期間は一生を想定する。ただし無条件ではない
私はMUFGも最低5年、基本的には一生保有する前提で購入しています。金融インフラへの需要は長く続き、顧客基盤、規制対応、海外ネットワークを短期間で再現することは難しいと考えるためです。
長期保有とは、決算を見なくてよいという意味ではありません。毎四半期、金利だけでなく、貸出、手数料、信用コスト、資本を確認し、購入時の理由が数字に表れているかを見ます。社会に必要な会社であることと、株主に十分なリターンをもたらすことは別です。
現在の保有方針と他資産との位置づけはポートフォリオで公開しています。
まとめ
MUFGへの投資仮説は、単純な「金利上昇」ではありません。
国内利ざやの改善を土台に、海外事業と手数料収益が利益源を分散し、十分な資本を保ちながら株主還元を続けることを期待しています。
2026年度第1四半期は、資金利益と最終利益が大きく増え、この仮説を支える決算でした。一方で、金利低下、信用コスト増加、海外事業の悪化は今後も確認が必要です。「大手だから安心」ではなく、複数の数字で保有理由を点検します。
本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではありません。個別株には元本割れや減配の可能性があり、記載した条件は筆者自身の判断記録です。
出典・参考資料
数値は特記のない限り2026年6月末または2026年度第1四半期の実績です。
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