Alphabetを長期保有する理由|YouTubeとAIインフラの投資仮説
この記事で分かること
Alphabetを実際に保有する個人投資家が、YouTube、Google Cloud、Gemini、TPUをどう評価し、買い増しと撤退を何で判断するかを一次資料とともに整理します。
この記事の目次
私の結論:広告で稼ぎ、AIインフラへ再投資できる点を評価する
私がAlphabetを保有する理由は、YouTubeやGoogle検索という大きなユーザー接点と、Google Cloud、データセンター、独自TPU、ネットワークを同じ企業グループ内に持っているからです。
Alphabetを単なる広告会社とも、AIの成長株とも見ていません。現在の広告収益を、次の成長基盤となるAIとクラウドへ投資できる企業として見ています。ただし、AIへの巨額投資が続くだけでは投資仮説は成立しません。クラウドの売上と利益が伸び、投資を回収できているかまで確認する必要があります。
| 私の判断項目 | 現在の見方 |
|---|---|
| 最初に購入した理由 | YouTubeという継続的なユーザー接点と広告基盤 |
| 現在の中心仮説 | Google CloudとAIの成長、自社インフラによる競争力 |
| 買い増しの入口 | 5%以上の下落を目安に、事業と評価を再確認 |
| 最低保有期間 | 5年以上。基本的には売らずに保有する前提 |
| 仮説を見直す条件 | 広告・クラウドの利益成長が複数四半期にわたり停滞すること |
※上表は筆者個人の判断基準であり、将来のリターンを保証するものではありません。
最初に購入した理由はYouTubeだった
最初に注目したのはGeminiではなく、YouTubeでした。YouTubeでは、投稿者が視聴者に選ばれるために新しい動画を作り続けます。Alphabet自身がすべてのコンテンツを制作しなくても、投稿者同士の競争によって内容が更新され、視聴者との接点が維持される構造です。
視聴者が集まり続ければ、広告主にとっても価値のある場所であり続けます。2026年4〜6月期のYouTube広告売上は110億5,500万ドルで、前年同期の97億9,600万ドルから約13%増えました。私が購入時に評価した広告基盤は、最新決算でも成長を続けています。
もっとも、YouTubeが長く使われることと、広告収益が同じ速度で伸びることは別です。視聴時間だけでなく、広告売上、サブスクリプションの成長、コンテンツ獲得費用も分けて見ます。
現在もっとも重視するのは「Google Cloud × AI」
購入時はYouTubeを重視していましたが、現在の中心はGoogle CloudとAIです。AlphabetはGeminiというモデルだけでなく、データセンター、サーバー、ネットワーク、独自設計のTPUまで持っています。
Google Cloudの公式資料によると、TPUはAI向けに設計されたアクセラレーターで、Google Cloudを通じて外部顧客も利用できます。また、Googleのグローバルネットワークは200を超える国と地域に広がり、陸上・海底光ファイバーを含む大規模な通信基盤を持ちます。すべてを完全に内製しているわけではなく、海底ケーブルでは通信事業者との共同建設や回線の調達も行っています。それでも、計算資源と通信網を自ら設計・運用できる範囲の広さは重要です。
最新決算で確認できる成長と投資負担
| 指標 | 2025年4〜6月期 | 2026年4〜6月期 | 変化 |
|---|---|---|---|
| Alphabet売上高 | 964億2,800万ドル | 1,197億9,600万ドル | +24% |
| YouTube広告売上 | 97億9,600万ドル | 110億5,500万ドル | 約+13% |
| Google Cloud売上 | 136億2,400万ドル | 247億6,800万ドル | 約+82% |
| Google Cloud営業利益 | 28億2,600万ドル | 88億1,400万ドル | 約3.1倍 |
Google Cloudの営業利益率は単純計算で約36%まで上昇しました。一方、2026年上期の設備投資は805億9,800万ドルで、前年同期の396億4,300万ドルから倍増しています。2026年4〜6月期にはTPUシステムの販売収益も新たに計上されているため、Cloudの伸びをすべて継続課金型の成長とみなすこともできません。
ここが今後の確認点です。AI需要が強いことだけでなく、次の3つを一緒に追います。
- Google Cloudの売上成長が続いているか
- 技術インフラ費用を吸収しながら、営業利益を増やせているか
- 設備投資の増加に対し、営業キャッシュフローと将来の収益が見合っているか
AI関連企業をまとめて比較した考え方は、AIはインフラになるでも整理しています。
5%下落は「買い」の合図ではなく、再点検の合図
私は1〜2%の下落では、買い増しをほとんど検討しません。日々の値動きの範囲であり、事業価値が変化したとは限らないからです。5%以上の大きな下落があったときに、初めて候補として見直します。
ただし、下落率だけでは割安かどうかは分かりません。5%下がっても、利益見通しが10%悪化していれば割安とは限りません。実際の確認順序は次の通りです。
- 下落理由が市場全体、決算、規制、競争のどれかを確認する
- 広告とCloudの売上・利益に、構造的な変化がないかを見る
- PERなどの評価指標を、Alphabetの過去と他の保有候補に比べる
- 期待する成長余力が、ポートフォリオ内の別銘柄より大きいかを判断する
- 一度に買わず、追加後の構成比が過度に高くならないか確認する
決算直後に毎回売買するわけではない
私はすべての決算発表直後に売買しているわけではなく、多くの場合は何もしません。短期的な市場予想との差より、事業の方向が変わったかを重視しているためです。
一方で、個別株を保有する以上、少なくとも公式決算の数字は定期的に確認する必要があります。売買の有無と、決算を確認することは別です。私は次のような変化があったときに、詳しく見直します。
- 株価が大きく上昇または下落した
- Geminiなど、日常的に使うサービスの品質が明確に変わった
- Google Cloudの価格や供給状況に大きな変化があった
- 設備投資だけが増え、Cloudの成長や利益が追いついていない
サービスを使った感触は、決算書に現れる前の変化に気づく入口になります。ただし、自分の使用感は一人分の観測にすぎません。最終判断では、公式の売上、利益、顧客需要に照らして確認します。
投資仮説が崩れたと判断する条件
当初は「広告事業またはクラウド事業が赤字になったら」と考えていました。しかし、1四半期の利益低下だけでは、長期投資の撤回条件として粗すぎます。成長投資や一時費用で利益率が下がる場合もあるからです。
現在は、次の状態が複数四半期続くかを見ます。
- Search・YouTubeの利用と広告収益が弱まり、回復の根拠が見えない
- Google Cloudの成長率と営業利益率がともに悪化する
- 巨額のAI設備投資に対し、売上、利益、キャッシュフローの回収が進まない
- Geminiなどの製品競争力が落ち、既存のユーザー接点へAIを展開できない
- 規制や訴訟により、広告配信やサービスの標準設定が長期的に制約される
これらのうち一つが起きただけで即売却するのではなく、「なぜ起きたか」「改善可能か」「他の投資先より保有価値があるか」を確認します。
一生保有したいからこそ、売る条件を決めておく
私の基本姿勢は、最低5年、できれば一生保有することです。大きな企業には、需要、経営、人材、ブランド、設備など、規模を築けた理由があります。特にデータセンターやグローバルネットワークは資本と時間を要し、短期間で置き換えることは簡単ではありません。
ただし、大企業であることは永続性の保証ではありません。技術転換を逃す、規制で事業モデルが変わる、設備投資の効率が落ちることはあります。「一生持つ」は売却条件を持たないという意味ではなく、四半期の値動きで手放さないための時間軸です。
現在の保有方針と他資産との位置づけはポートフォリオで公開しています。
まとめ
Alphabetへの投資で私が見ているのは、次の循環です。
Search・YouTubeでユーザーと広告主を集める → 広告で得た資金をCloud・AIへ投じる → 自社インフラを製品と収益へ変える
2026年4〜6月期は、YouTube広告とGoogle Cloudの双方が成長し、Cloudの利益も拡大しました。ただし、設備投資も急増しています。今後はAIという言葉の強さではなく、投資額に見合う利益とキャッシュフローを生み続けられるかで判断します。
本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではありません。個別株には元本割れの可能性があり、記載した条件は筆者自身の判断記録です。
出典・参考資料
数値は特記のない限り2026年6月30日までの3か月または6か月の実績です。
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