投資初心者が最初の30日でやること — 1,000円のNISA積立を動かすまで
30日後のゴールは「詳しくなること」ではない
投資を始める前に、すべてを理解しようとすると止まります。
NISA、投資信託、S&P500、オルカン、信託報酬、クレカ積立。最初から全部を理解しようとすると、調べることが多すぎて、結局何も始められません。
最初の30日で目指すのは、投資に詳しくなることではありません。少額の自動積立を実際に動かすことです。
最初の30日で目指すゴールは、次の5つを完了することです。
- 楽天証券の口座を開設する
- 楽天銀行の口座を開設し、楽天証券と連携する
- 楽天証券でNISA口座を開設する
- S&P500に連動する投資信託を選ぶ
- NISAのつみたて投資枠で、月1,000円の自動積立を設定する
30日後に投資額が大きくなっている必要はありません。月1,000円でも、毎月自動で投資される仕組みが動き始めていれば十分です。
なぜ最初は個別株ではなく投資信託なのか
最初に個別株を買うと、投資をしている実感は強くなります。自分で会社を選び、値動きを見て、利益が出ればうれしい。
ただし、初心者にとって難しいのは「買うこと」ではありません。その銘柄が良い選択だったのかを判断することです。
個別株を買うには、少なくとも次の判断が必要です。
- 会社が何で利益を得ているか
- 競合企業と比べた強みは何か
- 現在の株価は利益に対して高いか安いか
- 業績が悪化した場合に保有を続けるか
投資を始めたばかりの時点では、この比較対象がありません。株主優待や配当利回りだけを見ると、分かりやすい部分だけで判断してしまいます。株価が下がったときも、それが一時的な下落なのか、事業の悪化なのかを見分けにくいです。
S&P500などに連動するインデックス投資信託なら、一本で複数企業へ分散できます。元本保証はありませんが、最初から一社を選ぶより、銘柄選定の失敗を抑えやすい方法です。
個別株を始めるのは、投資信託の自動積立が動き、企業を比較する基準を持ってからでも遅くありません。
1週目:投資に回せる1,000円を作る
最初にやることは、銘柄探しではありません。家計の確認です。
今月の生活費、近いうちに必要な支出、手元現金を確認し、毎月なくなっても生活に影響しない金額を決めます。本記事では、開始額を月1,000円とします。
月1,000円では、資産形成の速度はほとんど上がりません。ここで狙うのは利益ではなく、投資の操作に慣れることです。
具体的には、次のことを低いリスクで経験できます。
- 証券口座へログインする
- 投資信託の値動きを見る
- 積立設定が実行される
- 評価額が元本を下回ることに慣れる
- 積立額を変更する
投資を本格的に再開した社会人1年目、私は生活防衛資金として約50万円を用意していました。ただし、必要な現金額は雇用形態・家族構成・毎月の支出によって異なります。
大事なのは、投資を始めることより先に、近いうちに使うお金を分けておくことです。生活費まで投資に回すと、相場が下がったときに続けられなくなります。
生活防衛資金の考え方は「生活防衛資金の置き場所と適正額」で詳しく整理しています。
2週目:楽天証券・楽天銀行・NISA口座を申し込む
楽天証券を選ぶ理由
私が最初に開設したのはSBI証券でした。同期からIPO投資を目的に勧められたためです。現在は楽天証券とSBI証券の両方を使っています。
ただ、初心者が最初の積立設定を作る目的なら、楽天証券の方が入りやすいと考えています。アプリや画面が分かりやすく、楽天銀行・楽天カードとの連携を一つの流れで設定しやすいからです。
証券会社の違いは「楽天証券 vs SBI証券」で比較しています。
同時に申し込むもの
楽天証券の口座開設を進める際は、次の項目も確認します。
| 項目 | 目的 |
|---|---|
| 楽天銀行 | 生活資金と投資資金の移動を簡単にする |
| マネーブリッジ | 楽天銀行と楽天証券を連携する |
| NISA口座 | 対象商品の運用益を非課税にする |
| 楽天カード積立 | 毎月の投資信託購入を自動化する |
NISA口座は一人につき一つの金融機関で利用します。すでに別の金融機関でNISA口座を利用している場合は、金融機関変更の手続きが必要です。
本人確認やNISA口座の税務署確認には時間がかかる場合があります。最初の30日に余裕を持たせているのは、この待ち時間を含めるためです。
3週目:商品を一つ選び、月1,000円で設定する
楽天証券のNISA口座が利用可能になったら、つみたて投資枠で投資信託を一つ選びます。
私が積み立てているのは、**eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)**です。S&P500指数への連動を目指す投資信託で、米国の主要企業へまとめて投資できます。
ただし、S&P500が唯一の正解ではありません。世界各国へ分散するeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)も比較対象になります。両者の違いは「S&P500 vs オルカン」で整理しています。
最初の設定は次の内容で十分です。
口座区分:NISA つみたて投資枠
商品:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
積立額:月1,000円
決済方法:楽天カード(利用可能な場合)
分配金コース:再投資型
商品名が似た投資信託は複数あります。設定前に、商品名・運用会社・連動対象・信託報酬を確認してください。
ここで完璧な比較をしようとしすぎる必要はありません。まずは、低コストで広く分散された投資信託をNISA口座で積み立てる。この形を作ることを優先します。
4週目:買付を確認し、何もしない
設定後は、積立予定日と買付結果を確認します。ここまで来ると、やりたくなるのは値動きの確認です。
ただ、最初の1か月で見るべきなのは損益ではありません。設定が正しく動いているかです。
確認する項目は次の4つです。
- NISAのつみたて投資枠で買われているか
- 積立額が月1,000円になっているか
- 想定した投資信託が買われているか
- 翌月以降も自動積立が設定されているか
買付が確認できたら、値動きを見て売買する必要はありません。1,000円が990円や1,010円になる経験をしながら、投資商品の価格は動くものだと理解します。
最初の1か月で重要なのは、利益を出すことではなく、間違った口座・商品・金額で設定されていないかを確認することです。
最初の30日でやらないこと
個別株を勢いで買わない
銘柄名は伏せますが、私の最初の失敗は、会社を理解せずに個別株を買ったことでした。株主優待や高い配当利回りは判断材料の一部にすぎません。
「優待がある」「配当利回りが高い」という情報は分かりやすいです。しかし、分かりやすい情報だけで買うと、株価が下がったときに判断できません。事業が悪いのか、市場全体が下がっているだけなのか。そこを見分けられないまま持ち続けることになります。
個別株を買う場合は「米国個別株の選び方」や「ROE・PER・PBRの読み方」を確認し、少額から始めます。
積立額を無理に大きくしない
SNSで「NISAを満額使うべき」という情報を見ても、月10万円から始める必要はありません。生活費や近い将来の支出を優先し、継続できる金額にします。
毎日売買しない
投資アプリが使いやすいことと、頻繁に取引すべきことは別です。
アプリを開くたびに値動きが見えると、何かしたくなります。ただ、最初に作るべき習慣は売買ではなく確認です。月1回、積立が正常に実行されたかを見る程度で十分です。
31日目以降:1,000円から増額する
自動積立が問題なく動き、家計にも余裕があることを確認したら、月1,000円から段階的に増額します。
月1,000円
↓ 設定と値動きに慣れる
月5,000円
↓ 家計への影響を確認する
月10,000円以上
↓ 収入・支出・目標に合わせて調整する
増額の判断は、相場が上がったか下がったかではなく、毎月の余裕資金で決めます。相場が下がったから怖くてやめる、上がったから急に増やす、という判断にすると続きません。
私は現在、楽天証券のNISA口座で楽天カード積立を利用し、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を自動積立しています。最初から今の金額を投資していたわけではありません。仕組みを理解し、継続できると確認してから増やしてきました。
30日チェックリスト
- 毎月の支出と手元現金を確認した
- 月1,000円を投資に回せると判断した
- 楽天証券を開設した
- 楽天銀行を開設した
- マネーブリッジを設定した
- 楽天証券でNISA口座を開設した
- NISAつみたて投資枠で投資信託を設定した
- 月1,000円の初回買付を確認した
- 翌月以降も自動積立が継続することを確認した
まとめ
- 最初の30日は、投資知識を網羅するより自動積立を動かす
- 初心者は個別株を急いで選ばず、分散された投資信託から始める
- 楽天証券・楽天銀行・NISA・クレカ積立を連携すると管理を自動化しやすい
- 最初は月1,000円で、設定方法と値動きを経験する
- 31日目以降は、相場ではなく家計の余裕に合わせて増額する
参考リファレンス
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きっかけは、同期に投資家がいたことでした。「ウォール街のランダム・ウォーカー」を勧められたのですが、当時の私はそこまで投資に興味がありませんでした。
そのため本は読まず、とりあえず口座を作って、とりあえず何か買ってみる。そんな始め方をしました。株主優待があり、配当利回りも高そうに見える。理由としてはそれくらいで、個別株を買いました。
会社の事業も、同業他社も、投資信託という選択肢も、ほとんど理解していませんでした。その結果、数年後に株価は半分になり、損切りしました。
後になって本を読み、ようやく「自分は何も分からないまま買っていた」と理解しました。
だから最初の一歩は、銘柄選びで勝とうとしなくていい。少額で仕組みを動かしながら学ぶ方が、失敗しても立て直しやすいです。