オルカン1本でいい。それでもS&P500を選ぶ理由
最初に言っておく:オルカンでもいい
この記事はオルカン(全世界株式)を否定するものではありません。オルカン1本で積立を続けることは、長期投資として十分に合理的な選択です。
それでも私はS&P500を軸に据えています。その理由を、できるだけ正直に書いておきます。
世界経済の起点は米国にある
iPhoneを例に考えてみます。
iPhoneが世界中で売れる → Appleは増産のために中国・インドに製造拠点を拡大する → サプライチェーンが整備され現地の雇用と経済が活性化する → さらに消費が生まれ、iPhoneが売れる。
この連鎖の**起点はApple(米国企業)**です。中国やインドの経済成長は、米国の主要企業が需要を作り出した結果として生じる側面が強い。iPhoneに限らず、Google検索・AWS・Microsoft Office・Tesla・Amazonの物流インフラなど、世界を動かしているプラットフォームの多くは米国に本社を置く企業が提供しています。
新興国・日本株は結局、米国に連動する
米国の主要企業が世界経済の起点だとすれば、新興国株や日本株の業績も米国の景気と連動します。
日本の自動車メーカーは米国市場向けの輸出に依存し、韓国の半導体メーカーはAppleやNVIDIAに供給し、中国の製造業はiPhoneの部品を作ります。米国の消費が冷え込めば、これらの国の株価にも下押し圧力がかかります。
**であれば、新興国や日本に分散投資しても、結果として米国経済の動向に引きずられる部分が大きい。**それなら最初から米国の主要企業に集中した方が筋が通っていると考えました。
オルカン3,800社 vs S&P500の500社
オルカンは約47カ国・3,800社以上に分散しています。S&P500は米国のみ・約500社です。
分散対象を広げると、特定の国や企業への集中リスクを抑えられます。ただし、分散そのものが必ず値動きを穏やかにしたり、上値を限定したりするわけではありません。結果は各市場の構成比と値動きによって変わります。
私はGAFAMやマグニフィセント7(Apple・Microsoft・NVIDIA・Alphabet・Amazon・Meta・Tesla)といった大型テクノロジー企業の比重を意識的に高めたいと考えています。S&P500はオルカンより上位銘柄の比重が高く、これらの企業への集中度が上がります。
| S&P500 | オルカン | |
|---|---|---|
| 構成銘柄数 | 約500社 | 約3,800社 |
| 対象国 | 米国のみ | 47カ国 |
| 上位の顔ぶれ | GAFAM・Mag7 | ほぼ同じ(米国が約63%) |
| 値動き | やや大きい | やや穏やか |
| リターンの特徴 | 米国市場への集中度が高い | 国・地域の入れ替わりを指数内で取り込む |
オルカンにしかない良さも正直ある
それでもオルカンを選ぶ理由が存在することも認めます。
オルカンには日本から直接投資しにくい企業が含まれています。たとえば再保険業界——Swiss Re(スイス)やMunich Re(ドイツ)は世界最大級の再保険会社ですが、東京証券取引所には上場していません。このような、日本居住者がアクセスしにくいセクターへの間接的な分散という意味では、オルカンに独自の価値があります。
再保険は景気との相関が低く、金融・保険セクターの中でも安定した収益構造を持ちます。個別で買えないからこそ、オルカンを通じて間接的に保有できることには意味があります。
結論:どちらでも大きく外れない。だからこそ自分の軸を決める
オルカンとS&P500、長期積立という目的においてはどちらでも大きく外れません。
- 世界経済の起点に集中したい → S&P500
- 米国以外も含めた広い分散を取りたい → オルカン
- GAFAMの比重を高めたい → S&P500
- 再保険や欧州金融など日本で買えない企業も持ちたい → オルカン
私はS&P500を選んでいますが、それはオルカンより優れているからではなく、自分の世界経済観と投資哲学に合っているからです。
出典・参考資料
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